「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」 在来工法の木造住宅が半数の消費者に選ばれています。


「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」の結果を10月9日に発表しました。
これは、「森林の手入れ」、「森林の利用」、「国産材の利用」等に関して、林業者、流通加工業者、消費者を対象にアンケート調査を実施した結果です。

消費者に木材の利用に関して「今後住宅を建てたり買ったりする場合に選びたい住宅」という質問では、、「木造住宅(昔から日本にある在来工法のもの)」と回答した割合が51.9%と最も高く、次いで「木造住宅(ツーバイフォー工法など在来工法以外のもの)」(22.8%)となっています。

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「住宅を選ぶ時に価格以外で重視すること」との質問では、、「品質や性能が良く、耐久
性に優れていること」と回答した割合が84.2%と最も高く、次いで「健康に配慮した材料が用いられていること」(74.0%)、「内装等で木質部分が多くあること」(36.7%)との結果となっています。

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消費者は、品質、耐久性に優れた、健康に配慮した材を使った木造住宅で、内装も木材で囲まれている住環境がご希望のようです。

住宅を選ぶ際に、工法まで気にしているのは少々驚きでした。
工法をまとめてみますと、

在来工法(木造軸組工法)

日本の昔ながらの住宅工法で、在来工法ともいわれ、設計の自由度が高く開口部も大きくとれる工法です。

基礎に土台をのせ、柱を立て、梁などの水平材を渡し、筋交いという斜めの材を入れて補強します。骨組みが木材による横軸と縦軸、斜めの軸で構成されるのが特徴です。

木材と木材は先端にホゾやミゾを切り、噛み合わせて接合するのも特徴で、こうした木材の加工や接合に大工さんの技術が発揮されたものです。大工さんの腕によって精度のバラツキが出ることもありましたが、プレカット加工により、技術力によるバラツキは少なくなってきています。

筋交いの入る壁(耐力壁)を建物の隅部などにバランスよく配置することで、耐震性を確保できます。構造的な制約が少ないため、設計やデザインの自由度が高く、狭い土地や変形した土地にも対応しやすく、また、開口部をとりやすい工法でもあります。

メリット
構造上の制約が少なく、狭い土地やなどにも柔軟に対応できる。
開口部(窓など)の設計、間取りが比較的自由にでき、リフォームもしやすい。

デメリット
施工技術に熟練が必要とされ、個人の技術差によるバラつきが出やすい
機密性や遮音性に劣る

2×4(ツーバイフォー)工法

北米から日本に輸入された工法で、70年代から日本でも一般的になってきました。日本での正式名称は「枠組壁工法」です。

在来(木造軸組)工法が柱や梁などの「軸」で構成するのに対し、2×4は、断面のサイズが2×4インチの製材で枠を組み、構造用合板を張ったパネルで壁を構成します。壁、床、天井、屋根の「面」全体が家を支える働きをします。

枠組み材は、2×4材の他に、2×6材、2×10材、2×12材などが適材適所で用いられ、部材の種類は少なく、シンプルな構造なっています。部材は構造材からクギにまでサイズや施工方法が厳密な基準が規定されているので、出来上がりにバラツキが出にくいことが特徴となっています。

床・壁・天井の「面」で構成された箱型の構造となるため、地震の揺れのような横から加えられる力に強く、力を躯体全体に分散して、粘り強く耐えることができます。
また、気密性が高い構造をしており、気密、断熱性の高い家を作ることができます。

メリット
壁と天井、床で箱型の構造となるため、頑丈で、地震の揺れに強い。
気密性、遮音性、断熱性に優れている。
既製品の部材を使い、マニュアルに基づき施工されるので工期が短い。
大工の熟練度に左右されずに住宅を組み立てられる。

デメリット
「面」で支える構造のため、大きな開口部がとりにくい。
在来工法に比べ、リフォームの際に間取り変更がしにくい。

木質系プレハブ工法

木質パネルで、床や壁を組み立てるプレハブ住宅のがプレハブ工法です。
2×4工法に共通する点が多いのですが、断熱材や下地材まで装填したパネルを工場生産するのが、一般の2×4工法と異なる点です。
工場でパネルを生産することで、精度が高いパネルが生産でき、現場で組み立てる時間も短いため、2×4工法よりも現場での工期が短縮されます。
しかし、現場で組み立てる際にクレーンを使用するため、狭い道路に面する土地での施工は難しくなります。

メリット
力を壁や床の面で受け止め、分散させるため耐久性が高く、地震の揺れに強い。
工場でパネルを生産するため、部材の品質にバラツキが少ない。

デメリット
間取りやデザインに制約がある。
パネルが搬送できる場所に限られる。
改築の自由度が低い。

ということだそうです。

そして、在来工法で用いられる継ぎ手の技術は海外で驚きと賞賛だそうです。

http://media.tsukulink.net/2015/08/kanawatsugi/

森林資源の循環利用に関する意識・意向調査